レディニンジャの忍法帖

北の方に忍んでます、音楽・映画・本・アートなんかが好きです

2016/1/24 寺山修司市民大学総合講座・第5回 「寺山短歌の新しい解釈」

昨日の講座。
寺山短歌どころか、短歌自体ほぼスルーしてきたこの人生、しかし今回は講師が穂村弘さん!図書館で見かけて偶然手にとったこの方の本、視点や考え方が素晴らしくユニークで「短歌って割と自由にやってもいいんだ、楽しいものだな」と感じさせてくれて、そんな方が近所までいらっしゃるとは、是非お話聞いてみたい!と出掛けたのでした。


寺山がデビューした頃の短歌の世界は、作者が自分視点で現実の瞬間を切り取っていくような「ドキュメンタリー」的手法が主流で、そこに映画監督や演出家みたいな第三者の視点を持ち込み、現実にはありえない小道具を登場させて短歌を「ドラマ」化した寺山…といったお話、すごい面白かった!


表現て現実を現実としてだけ伝えようとすると、なんだかくすんでしまったり、うまく伝わらなかったりするじゃない。そこでフィクションを挟んだり、対象をちょっと大げさに表現してみたりすることで逆に普遍性とかリアリティを持たせる…てのは最近GSや昭和歌謡の歌詞を聴いてうすらぼんやり思ってたこと。なるほど、寺山は短歌以外の表現手法を短歌に持ち込んだ、と。穂村氏は「コラージュ」と言ってたな。


もう一つ、寺山が登場した時問題になったのが、「パクリ問題」。既存の短歌からモチーフやフレーズを引っ張ってきてリメイクしちゃうという…。これ当時かなり問題視されたようだけど、その後寺山が短歌以外の分野でその偉大な才能を証明したので、そのうちだれも何も言わなくなった、とは穂村氏談。
だけどこれってロックの世界じゃ日常茶飯事なのにね!カバー、リメイク、オマージュ、インスパイア、アンサーソング・・・対象に愛情が感じられないパクリならば叩かれてもしょうがないが、寺山がパクってる歌人は以前から敬愛してると公言してる人ばかりだというし、そんなに突くような事かしら?文学界って窮屈なとこなのね~。


二時間みっちりお話聞いて思った事は、「寺山修司ってロックだわ…」結局それかい⁈というツッコミは受け付けます(笑)


それにしても穂村弘さん、ステキな方でしたね~。6月に蓮沼執太を見た時も思ったけど、都会から来る人は身体の厚みが薄くてシュッとしてる人が多いね。穂村さん、知性を感じさせるソフトな語り口で時折吐く毒もなんだか洗練されてて…アーバン&インテリジェンスと呼ぼう。ちょっとお話してみたかったなー、「音楽は何がお好きですか?」とかさ!

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